ふるさと納税の光と影 地方創生と格差拡大をどう考える

地方創生から除外される都市
目次

ふるさと納税の成功とその影

一般的にふるさと納税で注目されるのは、寄付額が多く話題になっている自治体ばかりだ。しかし、その陰には寄付金が流出し苦しんでいる自治体も多い。ふるさと納税は、ある地域が潤えば他の地域が減収になるというジレンマを抱えている。

一見すると、富裕な大都市から地方へ資金が流れる仕組みに見える。だが実際には、財政的に厳しい自治体がさらに税収を減らすケースもある。特に観光地など収入に余裕がある地方自治体は、観光収入やふるさと納税で選ばれやすい特産品を提供できるため、有利な立場や条件にあるといえるだろう。

自治体間の激しい競争

ふるさと納税は、まるで「自治体間の参加を拒否できない競争か試合」のようだ。対策を講じなければ、税収が落ち込んでしまう可能性が強まってしまう。ブランド力がある特産品や寄付者(ここでは消費者としての概念が強い)が日常使いができる魅力がある農産物や日用品を持つ自治体は有利だが、そうでない自治体は開発やマーケティングに多額のコストがかかる。2023年10月より5割ルールが発令されたものの、それは最大で半分の税収が運用コストで失われるという意味にも捉えることができる。

都市圏で起きてる流出例

ふるさと納税が始まったのは2008年からだが、浸透するまでに色々ありきっかけのひとつとして2015年当時に税制改正でふるさと納税可能額が10%から20%に倍増し、さらにはワンストップ特例が設けられたことで寄付額が急増することがあげられる。それにより都市部からの流出が出るようになり、例として東京都世田谷区は、税収が累積で460億円以上も流出することになってしまった。(令和5年度情報)

特に緊急なのは、住民税の高い人ほどふるさと納税が多くできるという現状だ。これに対して「ふるさと納税の上限額」を設けることで、流出を抑える対策が求められている。

大都市の苦悩

東京の近郊の都市、特にベッドタウンとされる人口が多い大都市はふるさと納税による減収の影響を受けやすい。これらの都市は、税収が多い反面、支出も多い。特にふるさと納税の仕組みだと住民が自分の住む(住民票を届けている)自治体に寄付しても返礼品を受け取ることがでいないため、より減収になりやすい環境だ。

本来の『ふるさと納税』は寄付

ふるさと納税制度の根幹にある目的は、過疎化や財政難に苦しむ地方自治体を支援し、地域活性化を図ることです。地方や都市圏に仕事のために居住を移したり、出身地から離れて暮らす人が、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付をすることで、地方の税収増加と活性化を促す仕組みです。寄付金は、地域公共施設の整備や、教育・医療・福祉などの充実、産業振興など、様々な目的に活用されます。自治体によっては、寄付額に応じて特産品などの返礼品を提供しているところも多く、それがふるさと納税の利用者増加にもつながっています。

まとめ

日本の自治体は財源の独自割合が多く、その上でふるさと納税により市場を取り合う形になっている。自治体はふるさと納税により税収を上げるという側面以外にも、税収を守るために施策を打つ必要もありそうだ。大都市であっても財政が安定しているわけではなく、ふるさと納税の対策を講じることが急務となり得る。

以下、参考文献

プレジデントオンライン編集部.「ふるさと納税受入額」全国ワースト500.プレジデントオンライン.2017-05-25(参照日:2024-6-10)
NHK首都圏ネットワーク.「ふるさと納税」流出で約100億減収 世田谷区長「悪夢」と吐露.NHK.2023-08-04(2024-06-10)


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