茨城県境町のふるさと納税はなぜ成功するのか

茨城県境町は茨城県内でもふるさと納税額が多いことで有名で、ふるさと納税担当者からは大変注目されている自治体である。

この町は特産品と言えるものももちろんあり「さしま茶」や紅はるかを使った「干し芋」、長い歴史のある蔵元がつくる「日本酒」や新進気鋭のブルワリーがつくる「地ビール」などあるが、ふるさと納税市場に強い他自治体がもつ特産品カテゴリー(ジャンル)やブランド商品があったわけではなかった。

ただそれにも関わらず、境町は茨城県内で最も高いふるさと納税額を獲得している。
どのような施策があったのだろうか。

目次

境町の特徴とふるさと納税返礼品の変化

境町の特徴は、茨城県の南西部に位置しており、利根川の水と緑があふれる田園都市です。
また自動運転バスが運行されていたりと、先進的な施策を取り入れていることでも有名な自治体です。

ふるさと納税施策では、大きく費用を投入して広告プロモーションを打ち出したり、人やお金をかけて新しく返礼品開発をする施策は取り入れているわけではなかった。また境町のふるさと納税返礼品としてサツマイモ(紅はるか)や干し芋などの加工品が元々は有名だったのだが、現在の納税額は米が多くを占めているといわれています。

ただふるさと納税で同じカテゴリーの米であれば他の都道府県で有名な地域やブランド米もあり、茨城県でも多くの自治体で主要な産業になっているので、同じ茨城県内の境町が特別なわけでもなかった。

ではどうやって境町は米の返礼品の注文を加速させられたのだろうか。

ポイントは寄付者様にどう見せたいか

広い関東平野に位置してする茨城県には、米の栽培に適した土地(農業用水の管理が行き届き、養分が豊富)で米農家の方が多いです。
境町も田園面積が非常に広く、そこで多くの米を栽培しており「あきたこまち・ひとめぼれ・ふくまる・一番星・ゆめひたち・あさひの夢・ミルキークイーン……)と多数品種ブランド米を育てています。

境町はそこに目を付け、単種の米ではなく複数のブランド米をセットで返礼品にした。
ただ、単に米を返礼品にするのではなく、そのセットを「食べ比べセット」として見せ方を変えることにしたのです。

新たな品種を作ったり製品を開発したわけではなく、組み合わせを工夫した。とても小回りが利く「ちょっとした」工夫かもしれないが、それが高い効果を生むことりなり結果として「食べ比べという特別な体験」で、境町のふるさと納税額は爆発的に伸びることになった。

次なる一手を考える

たまたま時世に合って品物が刺さるということはあるが問題はそのチャンスをしっかり生かせるか、というところにある。

境町の場合、米の返礼品の寄付額が上がったことを喜ぶだけでなく、干し芋のプロモーションも行った。境町のふるさと納税返礼品の納税額は「米食べ比べセット」が不動の一位である。一方で、業界内外を問わず境町と言えば「干し芋」と答える人は多い。

米食べ比べセットはあくまでふるさと納税の返礼品として人気があるのだが、境町や茨城県の独自ブランドというわけではない。(ただ現在は、茨城県と協力して境町独自のブランド米の開発にも注力中しています。)

一方「干し芋」は境町のブランドとして広く認知されている。

確かに伸びている品に一点投資するのは理にかなっているかもしれないが、自己ブランドを育てるための投資は、ふるさと納税だけでなく町の知名度や引いては他の収入や経済効果にも繋がっていく。境町では新たな観光拠点を建設したり、更なる町振興への投資も強めています。

まとめ

ふるさと納税の返礼品は、「自治体への寄付の要素は薄く、品物を購入するかのごとく選ぶ」傾向がある。

ただ特産品や日用品といった品に寄付が多く集まることが普通であると考えず、見せ方やプロモーションのやり方を工夫することで、寄付額を大きく伸ばすことも十分に可能ではないだろうか。

以下、参考文献

茨城県境町.境町のふるさと納税が60億円突破.茨城県境町.2018(参照日:2024-05-22)
茨城県境町.ふるさと納税寄付実績.茨城県境町.2023(2024-05-22)
茨城県境町.ふるさと納税一覧.茨城県境町..(2024-05-22)



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