自治体間の競争激化!? ふるさと納税額の多い自治体

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ふるさと納税の寄付額1位はどこのまち?

宮崎県都城市はふるさと納税の寄付額で1位常連の市だ。
2022年度の同市の寄付額は195億円以上で、市の歳入の1割以上にあたる。
ちなみに2022年度決算での市税が203億円であり、ほぼ市税に匹敵する額が寄付されている。

これほどまでに寄付額を集めることができる秘訣はどこにあるのだろうか。

都城市には「酒と肉」という強力なブランドを持つことは大きなプラスになっている。
酒の分野では霧島酒造を抱えており、肉では宮崎牛というブランド牛が備わっているなど、ふるさと納税ポータルサイトの”市場”で最もヒットするジャンルを押さえている。

とはいえ、カニをはじめとした魚介類や生活必需品など、ポータルサイトで寄付を集めやすい品を揃えている自治体は数多くある。

確かにブランドの肉と酒を有していることは強みに違いないが、品さえあれば寄付は増えるのだろうか。

選択と集中のマーケティングを押さえる

有名な品があれば寄付は集まりやすい。それは確かだ。
ふるさと納税の主戦場はポータルサイトであり、ポータルサイトでは自治体から選ぶのではなく多くは品物検索から選ばれる。

よって、市のブランドよりも品物のブランドが重要であり、人々は自治体名ではなく品物やブランドの名前で検索する。

とはいえ、自治体というのは営利事業者ではないから通常の企業のように売れる品だけ並べるわけにはいかない。
また、有名なブランドの品の数を確保したり、広めるにもコストは掛かる。

一般的な企業であれば、売れる品の在庫を多くし、売れる品の名前を前面に掲げてブランド化する。
〇〇株式会社と言えばコレ!といったイメージを作り、より選択されやすくする。
ブランド化や選択と集中といった戦略は基本かつ一般的に行われている。しかしそれは私営企業では簡単でも公平平等を是としないとならない自治体には難しい。

ところが都城市では肉と酒と、明確にブランドの選択と集中が行われている。
自治体の展示会紹介などでも霧島酒造などの名前を出し、明らかに品物を絞って紹介をし、徹底している。

本当のところはどうなの?

実はかなりの苦難と努力をし続けた結果である。

都城市の寄付のほとんどは肉と酒、それもブランドを保有する特定の事業者の品に集中している。

率直に言えば「特定の事業者をピックアップしている」わけだ。

自治体としては、波風を立てないためには平等を求めねばならない前提もあり、選択と集中は不公平感を生む。
都城市のように特定の品をブランド化して旗印にする戦略は、他の自治体でも行われている例があるが、いずれにしても地元への説得や協力要請はかなりの苦労を要している。


一方で、集中と選択は効果が大きく、成功する産品が出れば市内の他の物品の寄付額も総じて上がり、全体として盛り上がることは間違いない。

特定のサービスや品物をピックアップする勇気が自治体側にあり、かつそれを認める地元との信頼関係があって初めて成り立つ戦略でもある。
競争が年々熾烈になっていくふるさと納税施策。純粋な自主財源としてプラスになるふるさと納税は自治体運営にとっても魅力的な財源であるから、戦略も競争も私企業と変わらないほど強力になってきている。

今となっては単に有名な品があるとか、コンサルを入れれば何とかなることはなく、地元との信頼関係や対話のあり方が実は問われているのかもしれない。

いかがでしたでしょうか。
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