中国から観光客が来ない観光地
日本のインバウンド需要のほとんどはアジア圏の人々で占められている。
その中でも中核を成すのが中国本土の観光客である。
中国での日本観光の評価は概ね高く、来訪者数も多いものの訪れる。
もちろん東京や大阪などは数多く訪れているが、それ以外の自治体でも多くの中国人来訪者を獲得している土地もある。
一方で、東京23区であっても中国からの観光客がほとんど訪れない観光地も存在している。
ではなぜ中国からの観光客は特定の場所にしか行かないのか。どうすれば流れをコントロールできるのだろう。
観光客が来日する目的
一昔前まで、中国から日本へ旅行する目的のひとつとして「爆買い」というものがあった。
しかし、最近では爆買いは時代遅れとなっている。もっとも、今でも日本の人気商品を買うために訪日する旅行者、団体ツアーの観光客も多いが、トレンドとしては上がりにくくなってきた。
それでは最近の中国からの旅行者は何を目指してくるのか。
訪日された旅行者の目的として純粋に日本の文化伝統を感じたい、あるいは体験をしたいという、現地型の理由の割合が増えている。モノ消費からコト消費にシフトしているのだ。
ライブや文化体験など、体験は多岐に渡り、東京や大阪以外でも、田舎での宿泊や温泉なども人気が出ている。
しかし、どこでもいいわけではなく慎重に旅行の計画を立てて、観光地を選んでいます。
日本旅行に精通したヘビーユーザーほど、個人旅行でディープな旅を目的に、旅行先をよくリサーチする傾向がある。
口コミがすべて
今も昔も変わらず中国での口コミの影響力は強い。
口コミのマーケティング技術は日本よりも格段に高度であり、またユーザーのリテラシーも高い。
ありとあらゆる手法が飛び交う中国市場では、ユーザーは常に膨大に広告がある環境化のなかで、さらに膨大な口コミのなかから信憑性があるかどうかを判断することが日常だからだろう。
また旅行となると中国の方は、事前のリサーチが入念であり、逆に言えば現地に着いてから判断することはあまり多くない。
となると、事前に中国本土やウェブ上でユーザーに訴求する必要があるが、これがなかなか難しい。
それは通常の広告や口コミはほとんど信頼されないためだ。
中国人は嘘広告や口コミを見抜くためのファクトチェックを常日頃行っている。そのため、本当に中国コミュニティの間で流行っていないと、なかなか旅行先として選ばれない。
結果的に、中国からの旅行者は国内・国外問わず行先は偏りを見せてしまう。
本物を目指してくる
オピニオンリーダーになり得る人が良い口コミを投稿してくれれば、今は無名の観光地でも流行る可能性は十分にある。
既存の安全で評価も高い旅行先にどっと流れると同時に、常に新しい旅行先を探そうとする熱量もある。
そのトレンドの変化は激しく、流行は常日頃入れ替わっている。
中には、中国人誘致を考えていなかったのに、中国人が大量に押し寄せ、なぜ流行っているか当事者でも分からない。なんてこともあれば、中国人旅行者獲得を目指して大金を投じても全く見向きもされないこともある。
海外旅行という大きな投資をするのだから失敗はしたくない。本物を体験したい。と思うことは中国人でなくても誰しも思っていることで、特別なことでもない。
ただ、口コミが中心であるため「こうしておけば海外観光客なんて買ってくれるだろう」「どうせ1回限りの客なのだから、適当で良いだろう」という作戦はあまり通用しなくなっていると言える。
例え目の前の中国観光客が二度目は訪れないと分かっていても、その口コミは効果がある。
中国人観光客は1人1人別ではなく、中国人という1人のヘビーユーザーだと思って対応する必要はあるかもしれない。
中国でトレンドを作ることは大きなお金が必要であるが、小さな観光地であっても気に入られればお金を掛けずとも人気観光地になれる可能性を秘めている。
言語対応や本土への広告も大事だが、ぞんざいに扱われないこと、本物を見せることなどトレンドを掴み、旅行そのものに満足してもらうことも大事そうだ。
いかがでしたでしょうか。
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