「湖の膳舎 なかむら」東京からきた和食料理人が洞爺湖の食材を磨き上げる絶品和食店

湖の膳舎 なかむら

ディスティネーションレストランという言葉を知っていますか?

「ここを訪れるためだけでも、その土地を旅する価値のあるレストラン」という意味です。

地元に密着してその土地で採れた食材を調理したり、歴史や風景を活かした建物をレストランにしたところが多く、日本でも注目されつつあります。

東京から洞爺湖へ移住した中村さん夫妻が2023年4月に開店した『湖の膳舎 なかむら』は、ディスティネーションレストランの定義に当てはまるお店かもしれません。

洞爺湖周辺から仕入れた食材がオープンキッチンで調理され、シェフの中村さんの手で素晴らしい和食の一品へと変わる。そんな様子を窓から見える洞爺湖の景色と共に楽しめるからです。

早くも注目されているこのお店は、冬はニセコのスノーリゾートに遊びにきている外国人が、「ランチは洞爺湖のなかむらへ行こう」と言って、車で1時間半かけてやってくることもあるそうです。

注目されるレストランを洞爺湖で開いたのは、どんな方なのでしょうか?お店にうかがってインタビューをすると、中村さんは大卒の和食職人で、東京のお店を辞めて家族3人で洞爺湖に移住した意欲的な方です。

洞爺湖で注目されつつある和食レストランを開いた方達に迫りました。

「湖の膳舎 なかむら」は、ココふるのふるさと納税の返礼品でも取り扱っているので、ぜひ返礼品ページをご覧ください。

目次

1.湖の膳舎 なかむらとは?

湖の膳舎 なかむら

『湖の膳舎 なかむら』は2023年4月25日にオープンした和食レストランです。

東京の中野で和食のお店を営んでいたご夫妻が、コロナ禍と子育てをきっかけに洞爺湖に移住されて、お店を開業しました。

オーナーの中村悠佑さんは千葉県出身で東京都育ち。和食職人としては珍しい大学卒の経歴を持っています。中村さんは高校・大学時代から飲食業でアルバイトし、料理と飲み物でお客さんが笑顔になる飲食の世界に惹かれ、大学卒業後に調理専門学校へと進学しました。

会社へ就職してほしい両親の気持ちを押し切り、得ていた会社の内定を断って進んだ飲食への道。

専門学校で和洋中と習ううちに和食に惹かれた中村さんは、厳しい板前の世界へと飛び込み、6年間も朝から晩まで割烹料亭で修行をします。修行先で北海道出身の奥さんと出会い、東京の中野で独立して『和食なかむら』を開いた中村さん夫妻。

忙しくも順調だった二人に転機が起きたのが、2020年のコロナ禍でした。

東京都の飲食店の営業自粛。子供を授かって出産。同時期に経験した中村さんたちは、独立後に初めて立ち止まり、家族3人になった人生のあり方を考えたそうです。

「それまでお店が忙しすぎて、子供を持つ想像すらできていませんでした。けれど、子供を授かって、子供の存在自体の可愛さと尊さに、自分の人生観が大きく変わったんです。そこから移住も視野に入れて、自分たちの生活を考えました」

前から好きだった北海道の洞爺湖を舞台にした映画『しあわせのパン』の影響もあり、自然の豊かな場所で家族3人で子育てをしたい!そう考えて北海道の洞爺湖への移住を検討した中村さんご夫妻。

視察した旅行で洞爺湖の食材の豊かさを感じ、「洞爺湖なら和食のお店が開ける」と確信し、お店『湖の膳舎 なかむら』を2023年4月に開いたそうです。

2.『湖の膳舎 なかむら』の外観と内観

湖の膳舎 なかむら

『湖の膳舎 なかむら』は、洞爺湖温泉街と月浦地区の間に位置しています。

街の中心地である洞爺湖温泉街から西にある有珠山噴火記念公園を抜け、住宅街の高台に建っているお店です。

湖の膳舎 なかむら

お店は2階にあります。わざわざ階段を登っていく変わった造りなのですが、それも理由がありました。

2階の広い窓から洞爺湖を一望できる贅沢なロケーションが用意されているからです。

湖の膳舎 なかむら

「どの位置からでも洞爺湖を見えるように工務店の方に作ってもらいました」

中村さんが言う通り、どこの場所からも洞爺湖と湖の中に浮かぶ中島を見ることができます。

湖の膳舎 なかむら

お店の奥には襖で仕切ることができる個室もあり、赤ちゃん連れのお客様にも配慮がされていました。

「赤ちゃんができるといくお店が制限されるんですけど、うちは赤ちゃん連れできていただいても大丈夫なお店にしたいんです」

現在進行形で子育てをしている中村さん夫妻ならではの視点です。

2階はオープンキッチンで調理の様子を眺めながら、次に提供される料理を待つ楽しみもあります。

スマートフォンでの撮影も大丈夫だそうで、よく外国人のお客さんからカメラの視線を感じると言っていました。

3.『湖の膳舎 なかむら』のメニュー

『湖の膳舎 なかむら』のメニュー
『湖の膳舎 なかむら』のメニュー※2024年6月現在

『湖の膳舎 なかむら』はお昼の予約制のコース料理になっています。

「湖の膳舎 なかむら おまかせ」は、先付、椀もの、お造り、焼き物、揚げ物、お食事(ご飯)、甘味の7点を出されるコース料理です。

料金は6,000円(税抜)で、120分制。

「湖の膳舎 なかむら 軽め おまかせ」は、お料理(先付、椀もの、お造り、焼き物、揚げ物)の中からおまかせで3品用意され、お食事(ご飯)、甘味の5点を出されます。

料金は3,800円(税抜)で、90分制。

※2024年6月現在の料金体系です。

今回は「湖の膳舎 なかむら おまかせ」を頼んでみました。

先付の「オロフレトマトと松藻 土佐酢ゼリー掛け
オロフレトマトと松藻 土佐酢ゼリー掛け

最初に来たのが、先付の「オロフレトマトと松藻 土佐酢ゼリー掛け」です。

オロフレトマトは、弁景温泉という温泉の湯を引き、熱を利用してビニールハウス栽培をしているトマトです。洞爺湖のイタリアンレストランのラゴルトで使われているものと同じトマトだそう。

食べてみると、外側にある皮がすでに丁寧にむかれて、シャクッと食べられます。トマト自体は甘味と酸味のバランスが良く、土佐酢で酸味がプラスされていました。

ズワイガニと平目茶碗蒸し
ズワイガニと平目茶碗蒸し

続いてきたのが、ズワイガニと平目茶碗蒸しです。茶碗蒸しの上に乗っているのは山菜。中村さんは提供する時、「ぼくが朝起きて洞爺湖近くで採ってきました」という説明を付け加えてくれます。

山菜なんて普段食べる機会はありません。エピソードを聞くと洞爺湖の食生活の豊かさを想像でき、山菜のほのかな苦味がより美味しく感じられました。

アイナメの薄造りと桜鱒のお造り
アイナメの薄造りと桜鱒のお造り

アイナメの薄造りと桜鱒のお造りは、噴火湾でとった魚をさばいて作られたお造りです。

面白いのは添えられている薬味で、山わさびや大葉などを刺身と合わせて食べます。当たり前のようにわさびで食べていたお刺身の薬味が山わさびになることで、北海道の魅力が引き立っていて絶品です。

地元の食材を食べられるお店は北海道にたくさんありますが、北海道らしい薬味を合わせる細かい気遣いがあるのは中村さんならでは。北海道旅行に来た人も嬉しいのではないでしょうか。

牛蒡海老真丈射込みと春野菜天麩羅
牛蒡海老真丈射込みと春野菜天麩羅

牛蒡海老真丈射込みと春野菜天麩羅は、春が旬のアスパラガスと山菜という春を感じられる組み合わせでした!

4月下旬から6月中旬にかけて旬を迎えるアスパラガスは、朝採れが最高に美味しい品です。

都会に住んでいたら絶対に気づけないアスパラガスの甘みとみずみずしさ。こちらが天ぷらにギュッと詰まっていて、非常に美味しかったです。

自家製真ホッケ一夜干し
自家製真ホッケ一夜干し

自家製真ホッケ一夜干しは、北海道らしい大きなホッケが炭火で焼き上げられ、美味しそうに輝いていました。食べてみると、表面はカリカリ、中の肉はホロリと柔らかく、とても美味しいです。自家製の黒豆味噌を使用したドレッシングもあり、洞爺湖産のクレソンと合わせて豊かな一皿でした。

タラの芽炊き込みご飯と味噌汁、漬物
タラの芽炊き込みご飯と味噌汁、漬物

最後は、タラの芽炊き込みご飯と味噌汁、漬物です。炊き上がった炊き込みご飯の鍋を中村さんが見せてくれ、お茶碗によそってくれるのです!

朝採ってきた山菜を炊き込み、山椒でアクセントをつけているとのこと。料理のライブを見ているかのような気分になります。

食べてみると、炊き込みご飯のじんわりした旨味の中、山椒のピリリとしたアクセントがあり、非常に美味しかったです。

米粉の抹茶プリンとコーヒー
米粉の抹茶プリンとコーヒー

最後の甘味は、米粉の抹茶プリンとコーヒーです。実は、米粉を使ったプリンは生産者さんとの会話から生まれたと奥さんが話していました。

「農家さんのところに直接仕入れに行くんですけど、ある日農家さんが言ったんですよ。最近話題になっているみたいだから米粉を作ってみたと。でも、何の料理に使えるのかわからないから、中村さんところで考えてくれない?」

ウソみたいな本当の話ですが、そんな会話から米粉プリンというデザートは生まれたそうです。

くず餅のようなちょっと弾力ある食感とほんのりとした甘みが美味しい一品でした。

120分のコース料理は、中村さん夫妻との会話と説明も合わさり、出てくる料理で洞爺湖の生活を感じられる楽しいひと時でした。

4.中村さんは洞爺湖というダイヤの原石を磨く人

中村さん夫婦

中村ご夫妻のお話を聞くと、東京から洞爺湖へ引っ越してきて、充実してるのがうかがえます。

縁もゆかりもない洞爺湖町という土地で人間関係を作り、食材を探して仕入れるのは大変です。洞爺湖は卸売業者もいないので、自分で農家さんのところに行ったり、山菜などは自分の手で採りにきます。

でも、生産者と料理人が直接つながることで、面白いコミュニケーションもあるようです。

生産者さんは「とりあえず気になった野菜を作ってみる」ということがあるそうで、ある農家さんは万願寺とうがらしという伝統的な京野菜を作りました。

しかし、使ったり、売る用途を考えていなかったらしく、仕入れに来た中村さん夫妻に話を持ちかけたそうです。

「万願寺とうがらしという野菜を作ったから、使ってもらえないかい?赤くなるのもあるから出荷できないし、それは捨ててるんだわ」

しかし、東京から移住した中村さんにしてみれば、赤くなる万願寺とうがらしは東京の市場で高値がつく貴重な食材です。あわてて言いました。

「捨てちゃダメです!赤いのは熟して食べごろになってるだけですよ!うちで買いますから」「えー!?」

こんな会話が起こったと中村さんの奥さんは面白いエピソードを話してくれました。

東京という流通が整備されたシステマティックな場所に住んでたら、絶対に起こらない化学反応があるようです。

他にも、中村さんは言います。

「東京などに出荷される野菜は、熟してないまま出荷せざるを得ないんです。でも、生産地の洞爺湖に開いてるお店なら、自分で農家さんのところに仕入れに行けるし、完熟した美味しい野菜を料理して提供できます。おかげで朝5時には目が覚める生活になりました(笑)」

そんなお話を聞いていると、中村さん夫妻がダイヤの原石を磨く人に見えてきました。

洞爺湖は食材の宝の山だったけど、あくまで原石です。それだけでも価値はありますが、今まで良さが伝わりきってませんでした。

和食の料理人の中村さんが今まで磨いた腕で料理してくれるから、多くの人が洞爺湖に訪れて魅力が伝わります。

2年目が始まりましたが、『湖の膳舎 なかむら』を目指して、もっと多くの人が洞爺湖へ訪れそうな予感を感じました。

まとめ

中村さん夫婦

『湖の膳舎 なかむら』は、和食レストランですが、中村さんたち家族の暮らしている洞爺湖の暮らしの中で出会った出来事や食材のお話を食事中にたくさん聞けます。

和食レストランでの食事をしているはずなのに、なぜか洞爺湖の魅力や暮らしまで感じられる。

こんな贅沢な食事体験はなかなかできるものではありません。

ぜひ洞爺湖を訪れた際は、「湖の膳舎 なかむら」で、洗練された和食をお楽しみください。

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