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オーバーツーリズム対策の二重価格はアリ?ナシ?

二重価格とは文字通り2つの価格を用意することである。

俗に観光地価格とも言われ、つまり観光客に対してのみ高い料金を設定することを指す。

オーバーツーリズムとは観光客過多によって地元の生活が阻害さるなどの害が発生するという意味。

オーバーツーリズム対策として観光客のみ料金を高くすることで観光収入の増加、観光客の流入の抑制、新たな観光客対策のためのインフラ整備費用の確保などが期待できる。

一方で、ボッタクリと勘違いされたり、現地スタッフへの周知や教育、地域で実施者が少数だと実施する店舗だけが不利益を被る可能性など、観光客のみならず店舗や地元側からも批判の声もある。

目次

二重価格を設定する方法

では実際にどのような二重価格の方法があるのか。

自国(地域)語が話せる人のみ割引(割引説明を自国語のみにする)

日本語を含む話者が地域内のみにほぼ限定されている国や地域の場合、現地語を用いる場合のみ本来の価格(割引価格)を提示するやり方である。

日本などの場合は有効だが、インバウンドに限定される。国内観光客の流入も問題になっている地域では使用できない。
英語圏などでは旅行客も英語を使用するなどで区別が難しく、インド都市部のように多数の公用語があって入り乱れている地域ではあまり機能しない。また、民族問題や人種問題を引き起こす可能性もあり注意が必要。

メリットは、オペレーションが比較的簡単なこと。スタッフへの周知のみで店舗単体でも実施ができる。

デメリットは、日本ではまだ導入数が少なく批判や顧客対応に問題が起こる可能性がある。

近隣居住者のみ割引・証明書(ネイバーカード)の発行

近隣居住者や企業に向け、施設側から特別なカード(ネイバーカード)を発行する。それを提示することで割引価格を受けられるという仕組み。

事前に配布することで周知や広告としても使用ができる。コストを優先するなら店舗に「近隣居住者さま・会社さまは社員証または身分証明書を提示して頂ければカード配布(または割引)」とすれば近隣居住者のみに絞って二重価格を実施できる。

メリットは、人種や言語といった区分けをしないことや、店舗のメニューにも二重価格表示をしなくて済む場合もあり、値引き対象外の人からの批判を受けにくい。

デメリットは、人的なオペレーションの負荷がかかってしまう可能性が高い。

上記デメリットをなくすために、大規模な施設や商店会等で一律で行うことで不可軽減を狙うことができるが、今度はリーダーシップをとる存在が必要になる。

回数券やポイントカードの発行

共通カードではなく、店舗専用のポイントカード(アプリ)を発行する。

これはオーバーツーリズム対策以外でも広く行われていることだが、一番の違いはその割引幅である。

例えば観光客には5,000円で売りたくて、現地には2,500円で売りたい場合。
表示価格が5,000円のメニューがある飲食店があるとして、本人限定の期限付き10食セット食券を25,000円で販売するという具合だ。

先払いに不安を持つ顧客がいるようであれば、5食を〇〇の期間内に食べたら5食無料券を配布するなどポイントカード方式でも構わない。

観光客の特徴としては短いスパンでリピートしないこと。

リピートしても1週間に1回というペースで1年続けてくることはない。
そのため、期間と回数を限定した権利を配布することで、観光客との価格差を作ることができる。

メリットは、価格を表に出すことなく日常利用者のみに割引(本来価格)で提供することができる。

デメリットは、表示価格が高くなるため現地価格の周知が現地の方向けに難しくなる。また、カードの使いまわしが強く制限しにくい。

まとめ

観光客対応はそれだけで現地向けとは異なる労力が必要で、費用が掛かっている。言語対応も通訳してくれる機械や看板等を導入するにしても人を雇うにしても費用や労力がかかる。顧客側がいくら慣れていてもスムーズにいくプロセスだろうと想定していても、観光客相手であれば説明する必要も出たりすることもある。

その分の価格上乗せは、特に本来は現地の方向けのサービスを行う事業者であれば願う人も多い。

他の国々では、制度として存在していなくても自国語が話せない観光客相手にボッタクリ価格を提示する事例もあり、その国家への信頼や旅行満足度の低下を招いている国もある。

せっかく築き上げた日本の魅力や価値を、ボッタクリは簡単に崩す可能性もある。

ボッタクリと思われずに、しっかりとルールとして存在し、そのルールが観光客側にも納得できる内容である必要がありそうだ。行うとしても、理路整然とした内容で、堂々と相手に伝わった状態で進めるのがいいだろう。

以下、参考文献

西村 利也.訪日客の消費が大幅増 訪日客と地元民の料金分ける「二重価格」が広がる可能性も.産経新聞.2024-05-10(参照日:2024-05-22)


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